(質問)
法律上、未成年者が結婚する場合には両親の同意が必要だと聞きました。では、両親共いない未成年者が結婚するには、どうすればよいのでしょうか。
(回答)
「未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない」と民法737条1項に規定されています。この規定の目的は、必ずしも十分な判断力をもってはいるといえない未成年者が結婚するにあたって、父母の同意を婚姻届受理の要件とすることで、未成年者を保護しようという点にあります。なお、父母の一方が同意しないとき、分からないとき、死亡したとき、意思を表示できないときは、他の一方の同意だけで足ります(民法737条2項)。
それでは、両親が共に死亡しているような場合や両親共に所在が不明でその同意を得ることが難しいような場合に、未成年者がどうすればよいのでしょうか。このような場合について民法は規定していませんが、実務上は、父母の両方がいない未成年者が結婚する場合には、父母に代わる者、例えば未成年のための後見人など、誰かの同意は必要とされていません。未成年者を保護しようという目的からすれば、父母の両方がいない場合でも、後見人の同意などを得るといった手続が必要なようにも思われますが、そもそも結婚に関してはできるだけ当事者の自由な意思を尊重すべきとの考えから、父母に代わる者の同意までは要求しない取扱いとなっているのです。
(担当弁護士)
吉田瑞穂