少額訴訟という手続があると聞きましたが、どのような手続か教えてください。

(質問)

月末に給与をもらったら返すという約束で、友人に十万円を貸しましたが、月末を過ぎても返してくれず「裁判でも何でもすればいい」と開きなおられています。少額訴訟という手続があると聞きましたが、どのような手続か教えてください。
(回答)

少額訴訟とは、六十万円以下の金銭の支払を求める訴えを提起する場合に利用できる簡易裁判所における裁判手続(民事訴訟法368条1項)です。訴え提起の際に少額訴訟手続を求める旨を申述し、被告が通常訴訟への移行を希望しない場合(同法373条1項、2項)に、同手続による審理が行われます。なお、少額訴訟手続による訴えを提起できるのは、同一の裁判所において年に十回までとなります(同法368条1項ただし書、民事訴訟規則223条)。
審理は、原則、一回の口頭弁論期日で終結し(同法370条1項)、証拠調べも即時に取り調べることができる証拠に限られ(同法371条)、相当でない場合を除き、口頭弁論終結後直ちに判決が言い渡されます(同法374条1項)。原告の請求が認められる場合、裁判所は、被告の支払能力等を考慮し、判決言渡しの日から三年を超えない範囲で支払を猶予し、または、分割払の定めを付すことができます(同法375条1項)。このような支払猶予の判決は通常の訴訟手続でなされることはなく、被告による任意の履行を確保することが目的とされています。なお、少額訴訟における判決に対して不服のある当事者は、判決内容が記載された書面の送達日から二週間以内に異議申立をすれば(同法378条1項)、通常の訴訟手続で審理されることになります(同法379条1項)。

担当弁護士
小川 拓哉
カテゴリー: お金のこと