前夫に養育費を支払ってもらうには。

(質問)

昨年、夫と協議離婚し、私が子どもの親権者になり、養育していくことになりました。夫は、離婚時には養育費を支払うと約束しましたが、現在まで送金してきません。養育費を支払ってもらうには、どうしたらよいでしょうか。
(回答)

前夫との養育費を支払う旨の約束が公正証書によってなされており、公正証書に支払が滞った時は直ちに強制執行に服す旨の文言が記載されている場合には、公正証書により、前夫の給料や預金等を差し押さえるといった強制執行の申立を裁判所にすることができます。将来分の養育費が存在する場合には、支払期限が到来していない将来分を含めて一括して強制執行をすることもできる(民事執行法151条の2)ので、給料の差押えを申し立て、将来にわたる前夫の給料の2分の1までを差し押える(同法152条3項)ことも可能です。
一方、養育費支払の約束が口頭である場合や任意の合意書面による場合には、前述したような公正証書を新たに作成する方法や、合意に基づき養育費の支払を求める民事訴訟を提起することが考えられます。もっとも、支払をしない前夫から公正証書作成の協力を得ることは難しく、また、裁判は長期化が予想され、弁護士費用もかかるため、日々の子どもの監護・養育に必要な養育費の請求になじまない場合があります。
そこで、養育費請求調停を家庭裁判所に申し立てる方法が考えられます。調停は、弁護士をつけず本人でも可能ですし、訴訟よりは早期に解決する可能性があります。また、調停が成立すれば、調停調書により、支払が滞った際の強制執行が可能となります。


担当弁護士
小川 拓哉
カテゴリー: お金のこと, 離婚