ある日突然、市役所から電話があり、祖父の従兄弟が所有していた家屋が空き家となっていて、危険なので取り壊してほしいと言われました。祖父の従兄弟とは面識もないのですが、残っている親族は私だけのようです。行政の指示に従わなければならないのでしょうか。

(質問)

ある日突然、市役所から電話があり、祖父の従兄弟が所有していた家屋が空き家となっていて、危険なので取り壊してほしいと言われました。祖父の従兄弟とは面識もないのですが、残っている親族は私だけのようです。行政の指示に従わなければならないのでしょうか。
(回答)

本件では、相談者が空き家を所有していた祖父の従兄弟等から本件の家屋を相続しているのかが、まず問題となります。親族であれば必ず相続人になるとは限りませんので、相談者が祖父の従兄弟の相続人であるかを確認する必要があります。
 祖父の従兄弟という関係からすると、相談者は相続人に当たらない可能性も十分にあります。本件家屋を相続していなければ、相談者は本件家屋に対し権利義務を有していないので、当然には行政の指示に従って本件家屋を取り壊さなければならないことにはなりません。
 また、相続人であった場合でも、祖父の従兄弟の死亡後三か月以内、三か月を経過していても相続開始を知らなければ、相続を放棄することができます。相続放棄をした場合にも、同じく当然には行政の指示に従わなければならないことにはなりません。
 他方、相談者が相続した場合には、空家等対策特別措置法により、本件の家屋が倒壊等著しく保安上危険となる恐れがあるといったような状態で、同法が定める「特定空家等」に該当すると、市は、空家の取り壊しや修繕などの措置について助言や指導、さらには勧告や命令を行うことができますので、市役所からの指示が同法によるものであれば、指示に従わなければならないことになります。


担当弁護士
伊藤 安耶
カテゴリー: 土地・住宅のこと