離婚した配偶者の年金分割ができるそうですが、どのようなことか教えてください。

(質問)

離婚した配偶者の年金分割ができるそうですが、どのようなことか教えてください。
(回答)

離婚時の年金分割とは、婚姻期間中に納めてきた厚生年金や共済年金の年金保険料の記録を離婚に伴って夫婦で分割するものです。将来給付される年金額そのものを分けるものではありません。厚生年金等は、給与額に応じて保険料を納めますが、夫婦のうち給与の多い側の収入は、他方の貢献により形成されたと考えられることから、年金分割により厚生年金等に未加入ないしは納付保険料の少ない側の将来の年金額が増えるようにし、公平を図るのです。
 年金分割には、①夫婦の合意なく行える場合と②夫婦の合意又は裁判所での取り決めにより行う場合があります。
 ①夫婦の合意なく行える場合とは、平成二十年五月一日以後に離婚した場合で、かつ、分割を受ける側が、他方の扶養者になっており、国民年金の保険料を本人が負担していない場合です。この場合、夫婦の間で合意がなくても、平成二十年四月一日以後の婚姻期間中の保険料の記録を当然に半分ずつに分割できます。平成二十年三月三十一日以前の記録については、②の手続きが必要です。
 ②夫婦の合意または裁判所での取り決めにより行う場合とは、婚姻の全期間中の保険料の記録の分割割合を夫婦の合意または裁判所で定めてもらう事で行う場合です。この際、分割すべき保険料の記録を正確に把握するため、年金分割のための「情報通知書」を用意しましょう。
 ①の場合及び②の場合で分割割合が定まったら、年金事務所で年金分割の請求をします。この請求は、原則として、離婚から二年以内に行わなければならないので、注意しましょう。

 
 
(担当弁護士)
 山縣 宏子 






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