(質問)
夏のアルバイトの募集に高校生の応募がありました。高校生を雇用する場合、保護者の同意や年齢確認など、注意すべきことがありますか。
(回答)
1.高校生等の未成年者の就労については、労働基準法(以下では「労基法」といいます。)が年齢によって就労時間・就労内容等に様々な禁止事項や制限を設けていますので、まずは、あなたの事業で応募者を就労させることが出来るかを確認しましょう
労基法は、原則として、満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了していないものを労働者として使用することを禁止しています(労基法五十六条一項)
十八歳未満のもの(「年少者」といいます。)を労働者として使用する場合には、労基法で定められている満二十歳以上の者にも適用される規定はもちろん、年少者の保護の観点から特に定められた以下の規定を守らなければなりません。たとえば、事業場にその年齢を証明する戸籍証明書を備え付けなければなりません(労基法五十七条一項)。労働時間については、成人と同様に、一週四十時間、一日八時間まで労働させることが出来ますが、原則として時間外労働、休日労働、深夜労働(午後十時から翌日午前五時までの時間帯の労働)は制限されています(労基法六十条、同法六十一条)。また、危険又は有害な業務(例えば、重量物の取扱いや酒席に侍する業務等)、坑内労働については、就業が制限又は禁止されています(労基法六十二条、同法六十三条)。
2.次に、応募者と契約し、賃金を支払う時も注意が必要です。
労働契約の際には、成人と同様に、労働条件を必ず明示しなければなりません。未成年者であっても、未成年者本人を保護するため、労働契約は未成年者本人と結ばなければならず、親権者または後見人が代わって契約を結ぶことは出来ません(労基法五十八条一項)。ただし、未成年者との契約になりますので、親権者または後見人の同意は必要です(民法五条、八百二十三条一項)。
また、賃金は未成年者本人に直接支払う必要があり、親権者または後見人が代わりに賃金を受け取ってはならないとされています(労基法五十九条)。
3.以上のように未成年者の雇用にあたっては、年齢等によって様々な規制がありますので、年齢確認の際には本人の申告だけでなく、戸籍等の書類で確認する等、労基法で禁止されている就労をさせることにならないように十分注意をしましょう。
(担当弁護士)
吉田 瑞穂