(質問)
2ヶ月前に定年退職しました。退職金の金額は社長より提示されましたが、口約束で書面等はなく、請求していますが、まだ受け取っていません。最近、その会社が破産しました。
もう退職金は受け取れないのでしょうか。
(回答)
退職金制度がある会社が破産した場合、①破産手続き開始前に退職した場合は、退職金のうち退職前3ヶ月間の給料の総額と同じ額に相当する金額について、②破産手続き開始後に退職した場合は、退職金のうち退職前3ヶ月間の給料の総額と、破産手続き開始前3ヶ月間の給料の総額のいずれか多い方の額に相当する金額について、破産手続きにおいて優先的に支払を受けることができることとなっています。もっとも、会社に財産が残っていなければ、実際に退職金を支払ってもらえない場合もあります。
そのような場合や、仮に支払を受けられるとしても、早期に支払を受けたいときは、独立行政法人労働者健康福祉機構(以下「機構」といいます。)から退職金の一部を立替払してもらえる場合があります。立替払が受けられる場合、立替払請求日の前日までに支払期日が到来している退職金を対象として、原則として、機構からその退職金の8割相当額の立替払を受けることができます。
なお、会社独自の退職金制度がなかった場合でも、会社が中小企業退職金共済事業(以下「中退共」といいます。)に加入した場合には、掛金に応じて中退共が定める金額を直接中退共に請求することで退職金を受け取ることも可能です。
(担当弁護士)
鈴木 亮