大雨の時など、他の人の畑の「土」が私の土地に流れ込んで困っています。

(質問)

 高低差のある二つの土地があります。高い方の土地は農地です。大雨の時など畑の「土」が私の土地に流れ込んで困っています。土砂の流入を防止する対策をとってはもらえないでしょうか。
(回答)

 ご相談のケースの場合、農地の「土」によってご相談者の土地を所有している方は、その所有権が侵害された場合、侵害している人に対して、侵害を止めるように請求することができます。(物権的妨害排除請求権)。また、将来侵害されるおそれがある場合には、侵害をするおそれがある人に対して、侵害が起きないように請求することもできます(物権的妨害予防請求権)。
 妨害排除や妨害予防の請求をした場合、請求を受けた相手方と請求者のどちらが費用を負担するか、例えば、本件の場合、土砂の撤去や流入防止対策のための費用を農地の所有者が負担するのか、ご相談者が負担するのかという問題があります。この点、大災害など通常必要とされる注意を払っても被害が避けられない不可抗力の場合や請求者にも落ち度がある場合は別として、請求を受けた相手方が負担するのが一般的です。
 ご相談のケースの場合、畑の「土」がご相談者の土地に流れ込んで、現在もそのままの状態になっている場合は、農地の所有者に対して、流れ込んだ土砂をご相談者の土地から撤去するように請求することができます。また、今まで大雨の際に何度も土砂が流れ込んだことがあれば、今後も大雨の際には同じようにに土砂が流入するおそれがあるといえるので、今後土砂が流入することがないように、例えば防護擁壁工事や水路の整備など必要な予防措置をとるように請求することができます。また、土砂の撤去や予防措置を請求した場合の費用については、未曾有の台風などでない限り、通常の大雨程度であれば、農地の所有者がきちんと注意して対策をしていれば土砂の流出を防ぐことができるため、不可抗力とはいえないので、いずれの場合も農地の所有者が負担することになるでしょう。

 (担当弁護士)
  寺澤恵美

 

カテゴリー: 土地・住宅のこと