法人が成年後見人になること

(質問)

 法人が成年後見人になることの意義、特に、社会福祉協議会が法人後見を行うことのメリットは何でしょうか。

(回答)

 社会福祉協議会をはじめとする法人も成年後見人になることができます。高齢者人口の増加や各種福祉サービスを受けるための契約締結の必要などから、成年後見制度の利用件数が大幅に増加し、かつ、事案が多様化していくなか、成年後見人のなり手を確保することにつながるものと期待されています。
 法人が成年後見人になることのメリットとしては、法人には人間のように寿命がなく、成年後見制度の利用を必要とする方が比較的若い方であるなど、後見業務が長期間にわたる場合でも、継続的に後見業務にあたることができます。また、法人内で職員が連携することにより、多様な後見業務に対応することができます。この点、各種法人のなかでも、社会福祉協議会が法人後見人になる場合には、社会福祉協議会が有する各種福祉サービスに関する情報とノウハウ、また、地域福祉のネットワークをした後見業務が可能になります。さらに、その公共性、公益性から、資産、収入が乏しく、後見のなり手が見つかりにくい方が成年後見制度を利用する場合の受け皿となることもできます。
 他方、法人後見の場合に注意するべき点としては、人事異動により担当職員が交代した場合の引継や職員間での後見業務に関する情報の共有など、複数で事務処理にあたることから生じる引継及び連携に際し、事務処理の停滞がないようにすることと、法人内での後見業務に関する監督体制を整えることなどがあげられます。

 (担当弁護士)
  狩倉博之

カテゴリー: 家族のこと