私の家の前の道は、私道として近隣の6軒で共有しています。その私道の私の家の前の辺りが陥没してしまいました。 他の共有者にも修理費用の負担を求めることは出来ますか。

(質問)

私の家の前の道は、私道として近隣の6軒で共有しています。その私道の私の家の前の辺りが陥没してしまいました。
他の共有者にも修理費用の負担を求めることは出来ますか。
(回答)

共有物の各共有者は、その持分に応じて管理の費用を支払う義務を負います(民法253条1項)。ここにいう管理の費用とは、共有物の維持、改良等の為に必要または有益な費用の事を言います。
 ご質問のケースのように、共有物である私道が陥没したことによる修理費用は、共有物の維持のための費用として、管理に必要な費用に該当する可能性が高いと考えられますので、他の共有者に対して、その持分に応じた修理費用の負担を求めることが出来る可能性が高いと思われます。 
 
(担当弁護士)
 鈴木 亮 




カテゴリー: 土地・住宅のこと

夏のアルバイトの募集に高校生の応募がありました。高校生を雇用する場合、保護者の同意や年齢確認など、注意すべきことがありますか。

(質問)

夏のアルバイトの募集に高校生の応募がありました。高校生を雇用する場合、保護者の同意や年齢確認など、注意すべきことがありますか。
(回答)

1.高校生等の未成年者の就労については、労働基準法(以下では「労基法」といいます。)が年齢によって就労時間・就労内容等に様々な禁止事項や制限を設けていますので、まずは、あなたの事業で応募者を就労させることが出来るかを確認しましょう
 労基法は、原則として、満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了していないものを労働者として使用することを禁止しています(労基法五十六条一項)
 十八歳未満のもの(「年少者」といいます。)を労働者として使用する場合には、労基法で定められている満二十歳以上の者にも適用される規定はもちろん、年少者の保護の観点から特に定められた以下の規定を守らなければなりません。たとえば、事業場にその年齢を証明する戸籍証明書を備え付けなければなりません(労基法五十七条一項)。労働時間については、成人と同様に、一週四十時間、一日八時間まで労働させることが出来ますが、原則として時間外労働、休日労働、深夜労働(午後十時から翌日午前五時までの時間帯の労働)は制限されています(労基法六十条、同法六十一条)。また、危険又は有害な業務(例えば、重量物の取扱いや酒席に侍する業務等)、坑内労働については、就業が制限又は禁止されています(労基法六十二条、同法六十三条)。

2.次に、応募者と契約し、賃金を支払う時も注意が必要です。
 労働契約の際には、成人と同様に、労働条件を必ず明示しなければなりません。未成年者であっても、未成年者本人を保護するため、労働契約は未成年者本人と結ばなければならず、親権者または後見人が代わって契約を結ぶことは出来ません(労基法五十八条一項)。ただし、未成年者との契約になりますので、親権者または後見人の同意は必要です(民法五条、八百二十三条一項)。
 また、賃金は未成年者本人に直接支払う必要があり、親権者または後見人が代わりに賃金を受け取ってはならないとされています(労基法五十九条)。

3.以上のように未成年者の雇用にあたっては、年齢等によって様々な規制がありますので、年齢確認の際には本人の申告だけでなく、戸籍等の書類で確認する等、労基法で禁止されている就労をさせることにならないように十分注意をしましょう。
 
 
(担当弁護士)
 吉田 瑞穂 





カテゴリー: 仕事のこと

2ヶ月前に定年退職しました。退職金の金額は社長より提示されましたが、口約束で書面等はなく、請求していますが、まだ受け取っていません。最近、その会社が破産しました。 もう退職金は受け取れないのでしょうか。

(質問)

2ヶ月前に定年退職しました。退職金の金額は社長より提示されましたが、口約束で書面等はなく、請求していますが、まだ受け取っていません。最近、その会社が破産しました。
もう退職金は受け取れないのでしょうか。
(回答)

退職金制度がある会社が破産した場合、①破産手続き開始前に退職した場合は、退職金のうち退職前3ヶ月間の給料の総額と同じ額に相当する金額について、②破産手続き開始後に退職した場合は、退職金のうち退職前3ヶ月間の給料の総額と、破産手続き開始前3ヶ月間の給料の総額のいずれか多い方の額に相当する金額について、破産手続きにおいて優先的に支払を受けることができることとなっています。もっとも、会社に財産が残っていなければ、実際に退職金を支払ってもらえない場合もあります。
 そのような場合や、仮に支払を受けられるとしても、早期に支払を受けたいときは、独立行政法人労働者健康福祉機構(以下「機構」といいます。)から退職金の一部を立替払してもらえる場合があります。立替払が受けられる場合、立替払請求日の前日までに支払期日が到来している退職金を対象として、原則として、機構からその退職金の8割相当額の立替払を受けることができます。
 なお、会社独自の退職金制度がなかった場合でも、会社が中小企業退職金共済事業(以下「中退共」といいます。)に加入した場合には、掛金に応じて中退共が定める金額を直接中退共に請求することで退職金を受け取ることも可能です。
 
(担当弁護士)
 鈴木 亮 



カテゴリー: 仕事のこと

近所の犬が夜中に吠えるため、うるさくて困っています。苦情も伝えましたが、納得できる対応をしていただけません。どのような解決方法があるのでしょうか。

(質問)

近所の犬が夜中に吠えるため、うるさくて困っています。苦情も伝えましたが、納得できる対応をしていただけません。どのような解決方法があるのでしょうか。
(回答)

工場、建設工事や自動車等から発生する騒音については騒音規制法により規制されていますが、同法は生活騒音には適用がなく、各自治体が独自の条例を定めて生活騒音に関する規制や基準を定めています。神奈川県では、神奈川県生活環境の保全等に関する条例第百二条が、日常生活に伴って発生する騒音による公害を生じさせることがないように配慮すること、地域の快適な生活環境の保全に努めることを定めています。各市町村が生活騒音について相談窓口を設けていますので、一度、自治体に相談してみることが考えられます。
 自治体に相談しても解決できないような場合、犬の鳴き声が社会生活を行う上で受任すべき限度を超えているときは、飼い主に対し、防音設備の設置など、騒音の防止を求める請求や精神的苦痛に対する慰謝料の請求ができる場合があります。受忍限度を超えているか否かは、鳴き声の大きさ、鳴いている時間帯、鳴いている時間の長さ、ご相談者の居住する地域の状況、頭痛や不眠等の被害の発生などの事情を考慮して判断されます。
 これらの請求を直ちに訴訟によって行うことも考えられますが、隣近所の関係でもあることからすると、簡易裁判所での調停により、話し合いによる解決を検討することも一つの方法であると思われます。 (担当弁護士)  加藤 修一 
カテゴリー: 土地・住宅のこと

会社側から月に10時間以上、時間外勤務をしないよう命じられていますが、業務の都合上、どうしてもこれを超えてしまいます。この場合、時間外手当を請求できるでしょうか?

(質問)

会社側から月に10時間以上、時間外勤務をしないよう命じられていますが、業務の都合上、どうしてもこれを超えてしまいます。この場合、時間外手当を請求できるでしょうか?
(回答)

使用者は、労働基準法上の労働時間(原則として1日8時間、週40時間)を超えて、当然には労働者を働かせることはできず、使用者が法律上必要な手続きをとり、時間外労働をさせることが許される場合でも、使用者は、労働基準法上の労働時間を超える部分について、所定の賃金の25%増の賃金を支払わなければなりません。
 この点、明確に時間外業務の命令がなかったとしても、使用者側で労働者が時間外勤務をしている事実を認識していた場合には、時間外手当を支払わなければなりませんが、他方で、会社側から明確に時間外勤務を禁止する命令が出ていた場合、これに反して業務を行ったとしても、その業務は労働時間にあたらず、時間外手当を請求できないとする裁判例があります。もっとも、これらの裁判例によっても、時間外手当の対象となる時間外勤務にあたるかどうかは、指示された業務の処理に要する時間、所定の時間までに処理できなかった場合には管理者に業務を引き継ぐなどの代替措置が指示されていたか否かなどを考慮することになっており、ご質問のように、時間外勤務が、業務の都合上、どうしても会社の命令である月10時間を超えてしまうような場合には、時間外手当を請求できる可能性があります。 (担当弁護士) 鈴木 亮
カテゴリー: 仕事のこと

祖父が賃借している土地上に立っている祖父名義の家に住んでいます。祖父が亡くなった後もこの家に住み続けることは可能でしょうか。

(質問)

祖父が賃借している土地上に立っている祖父名義の家に住んでいます。祖父が亡くなった後もこの家に住み続けることは可能でしょうか。また、将来建替えを考えておりますが、祖父が亡くなった後の建替えは可能でしょうか。
(回答)

1.相談者の親(祖父の子)がすでに亡くなっているなど、相談者が祖父名義の家を相続し、土地の賃借権(借地権)を相続することができれば、この土地の賃借人として居住を継続することができます。また、相談者以外の親族がこの家と借地権を相続した場合、この相続人との間で居住継続について合意ができれば、居住を継続することが可能です。以上の場合、地主の承諾は必要ありません。
なお、相談者が相続人ではない場合でも、祖父がこの家と借地権を相談者に遺贈する旨の遺言を作成していれば、祖父が亡くなった場合に家と借地権を祖父から承継することができますが、相続の場合と異なり、相談者が借地権を譲り受けることについて地主の承諾が必要になります。借地権の譲り受けが地主に特設の不利益を与えないにもかかわらず、地主が承諾しない場合には、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求めることができます。なお、裁判所が許可するにあたり、地主への一定額の支払いを条件とされることがあります。
2.建替えについては、土地賃貸借契約には増改築について地主の承諾を要する旨の条項があることが多く、このような条項がある場合、建替えには地主の承諾を得る必要があります。 土地の通常の利用上相当であるにもかかわらず、地主が建替えを承諾しない場合には、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求めることができます。なお、裁判所が許可するにあたり、地主への一定額の支払いを条件とされることがあることは、借地権を譲り受ける場合と同様です。 (担当弁護士) 加藤 修一
カテゴリー: 土地・住宅のこと

20年以上前に購入した土地に公有地が含まれている事がわかりました。

(質問)

20年以上前に購入した土地に公有地が含まれている事がわかりました。土地の上には建物が建っていますが、行政から建物の撤去を求められた際は、それに従わなくてはならないのでしょうか?
(回答)

他人名義の土地を長期間占有していた場合、通常は、民法162条に規定されている取得時効の要件を満たせば、その土地の所有権を取得する事が出来、名義人から建物の撤去を求められても、撤去する義務はありません。
使用していた土地が公有地の場合でも、所得事項は認められるでしょうか。
この点、公有地などの「公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての携帯、機能を全く喪失し、そのものの上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、その為事実上公の目的が害されるようなことも無く、もはやそのものを公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合」には、黙示的に公用が廃止されたものとして、公共用財産も取得時効の対象となり得ます(最高裁判所昭和51年12月24日判決)。裁判例によれば、この目次的に公用が廃止されたという状況は、所得事項の要件である所有の意思を持った占有を開始する時までに発生していなければいけません。
なお、所有の意思を持って占有していたといえるかは、客観的な事情から判断されますので、例えば、公有地部分を含めて購入したといった場合でなければならず、公有地を勝手に占拠したといった場合には認められません。
今回問題となっている公有地について所得事項が認められるか検討するには、占有を開始したときに、すでに黙示的に公用が廃止されたといえる状態であったか、という点を確認する必要があり、公用が廃止されたといえれば、所得時効を主張することで、建物を撤去する必要が無くなります。
他方、所得時効が認められない時は、その公用地を管理している行政から払い下げを受ける事が可能な場合もありますので、行政にご相談されるのが良いでしょう。




(担当弁護士)
吉田瑞穂
カテゴリー: 土地・住宅のこと

土地家屋を売却しようとしたところ、実際の土地の形と土地が分筆された当時の地積測量図が異なると言われた。

(質問)

10年ほど前に購入した土地家屋を売却しようとしたところ、実際の土地の形と土地が分筆された当時の地積測量図が異なると言われました。きちんと測量し、公図の訂正や地積の更正をしないと売却できないそうです。この費用は購入時の仲介業者に請求できるでしょうか?
(回答)

宅地建物取引業には免許制度が設けられており、宅地建物取引業(仲介業者)は、宅地建物を取得しようとしている者に対し、宅地建物に関し、宅地建物取引業としての専門的地位に相応する水準の調査を行い、説明する義務が課せられています。
専門的地位に相応する水準の注意義務として、宅地建物取引業(仲介業者)は、対象となる宅地建物の権利関係を調査し、権利関係に疑義を生じるおそれのあることを認識した場合には、これを買主に説明し、買主が正確かつ適切な情報に基づいて取引できる環境を整える仲介契約上の注意義務を負っていると考えられます。
実際の土地の形と地積測量図が異なっている場合、隣地所有者との間で所有権をめぐる紛争が生じる可能性があり、権利関係に疑義を生じるおそれがあるところ、地積測量図は法務局で容易に閲覧できることから、買主にこの土地の形状等から生じ得る問題について説明しなかったことは、上記の注意義務を怠ったものといえます。
宅地建物取引業(仲介業者)の注意義務違反がなければ、新たな測量、公図の訂正及び地積更正の費用が発生しなかったといえますので、宅地建物取引業(仲介業者)に対し、これらの費用を損害賠償として請求できる可能性があります。
なお、土地の購入から10年以上が経過していた場合、仲介業者から消滅時効を主張される可能性がありますが、本件は、注意義務違反と損害の発生を知ってから3年は経過しておらず、土地の購入時から20年は経過していないようですので、注意義務違反が不法行為であると主張し、不法行為に基づく損害賠償請求として宅地建物取引業(仲介業者)に支払を求めることができる可能性もあります。

(担当弁護士)
加藤修一
カテゴリー: 土地・住宅のこと

従業員の人員整理を考えていますが、どのように手続きを進めるべきでしょうか?

(質問)
近所に郊外型の大規模店舗ができたため、会社の経営が行き詰まり、融資の目途も立っていません。苦渋の選択として従業員の人員整理を考えていますが、どのように手続きを進めるべきでしょうか?

 
(回答)
会社の経営再建のために人員整理が必要な場合であっても、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められない場合には、解雇は無効となりますので(労働契約法16条)、慎重な対応が求められます。
これまでの裁判例では、①人員を削減する必要があること、②解雇を避けるために努力をしたこと、③解雇される者の選び方が合理的であること、④解雇までの手続が妥当であることの4つの要素が、解雇が有効となるか無効となるかの判断のポイントになっています。
以上の要素から手続の進め方を考えると、まず、上記①については、経営の合理化などを図ってもなお人員整理の必要があることについて、決算書などの具体的な資料に基づいて説明できるようにしておく必要があります。次に、上記②については、従業員に十分に事情を説明したうえで、配置転換や希望退職者の募集を行い、解雇以外の手段で経営再建を達成できるようなできる限りの措置を講じる必要があります。それでも解雇以外に方法がない場合、上記③について、対象者の選定基準を作成する必要があります。勤務成績、会社への貢献度、解雇による経済的打撃の大きさなどが選定にあたっての要素となりえますが、性別を理由としたり、「誠実」「勤勉」などといった抽象的な基準によるときは、合理的なものとは認められない可能性があります。さらに、従業員への選定基準の適用においても公平になされることが求められます。
以上の過程において、上記④に関し、労働組合または労働者(少なくとも労働者の過半数を代表する者)に十分な説明を行い、協議を尽くすことも重視されていますので、上記①から③を形式的に満たしていても、十分な説明を尽くさない抜き打ち的な解雇は無効となる可能性が高いといえます。

 

(担当弁護士)
加藤 修一

カテゴリー: 事業のこと

遺言書の効力に時効はありますか?

(質問)
3年前に亡くなった父が、遺言書を残していますが、まだ遺産分割をしていません。遺言書の効力に時効はありますか?

 
(回答)
遺言は、原則として遺言者が死亡した時に効力が発生し、効力発生後に遺言の効力が時効によって消滅することはありません。そのため、お父さんが亡くなられから3年経った現在においても、遺言書の効力に影響はなく、その遺言書に基づいて遺産の継承、分割を行うことになります。
なお、お父さんの遺言書が自筆証書遺言であった場合、遺言書を発見した相続人は、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して、検認という遺言書の存在、状況を確認する手続を行わなければなりませんので注意してください。

 
(質問)
父が亡くなった後に、私の弟を除く父の相続人全員が相続の対象だった財産を放棄し、弟がすべて相続しました。もし弟が亡くなった場合、弟が相続した父の遺産はどのようになるのですか?弟には配偶者も子供もいません。母も既に死亡しています。兄弟である私が再び父の遺産であった財産を相続することになるのでしょうか?

 
(回答)
相続人の順位は、配偶者が常に相続人となることを除くと、子が第一順位、直系尊属つまり両親や祖父母、曾祖父母が第二順位となり、兄弟姉妹は第三順位となります。第二順位までの相続人がいらっしゃらなければ、本件では、ご相談者が第三順位の相続人として弟を相続することとなります。
弟が既に父の遺産を単独で相続していますので、弟の遺産を相続する際には、弟が相続した父の遺産も一緒に相続することとなります。ご相談者は父の相続の際、遺産を放棄されていますが、弟が相続した父の遺産を相続したくないのであれば、別途弟の相続を放棄しなければなりません。このとき、父の遺産を除く弟の遺産だけを相続するということはできませんので、父の遺産を相続したくないのであれば、弟の遺産全てを放棄しなければならないこととなります。
なお、相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して行わなければなりませんので、注意してください。

 

(担当弁護士)
鈴木 亮

カテゴリー: 相続のこと